大武氏:
OKIは1881年に日本で初めて電話機を開発し、日本初の通信機メーカーとして創業したのが始まりです。以来、電話交換システムをはじめ、銀行ATM、道路交通システムなど社会インフラを支える商品・サービスを提供していますが、新規事業としては、センサーやネットワーク、データ処理技術の強みを活かした新しいビジネスモデルの創出を目指しています。また、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、2018年4月にイノベーション推進部を立ち上げて、社会課題を解決する共創型イノベーションの活動を「YumePro」と名付けてスタートさせました。その強力なパートナーがゼロビルバンクさんです。
大武氏:
ゼロビルバンクさんとは部を立ち上げてすぐに「YumeCoin」を共同開発しました。企業トークンを発行できるZBB WALETを提供いただき、モバイル端末の機能と連動させて“行動や動き”に応じてポイントを付与する仕組みを整えました。ベネフィット・ワン様のインセンティブ・ポイントプログラムとも連携させていただき、利用者のモチベーション維持を検証しました。弊社の従業員100名がYumeCoinプロジェクトに参加しましたが、例えばヘルスケア情報では、8000歩達成すると自動的にコインが付与され、社員同士でも保有コイン数やランキングを確認できるので、日頃の運動不足解消のモチベーションに繋がりました。
YumeProでは「医療・介護」、「物流」、「生活・住宅」という3つのテーマを決めて新規事業の検討を進めていますが、認知症の未病・予防に着目してYumeCoinを実証実験で活用しました。スマートフットウェアを開発しているスタートアップのno new folk studio様をゼロビルバンクさんからご紹介いただき、歩行分析から認知症の予防や未病につなげる仕組みを7月に共同開発し、北海道岩見沢市で実証実験を開始しました。岩見沢市は高齢化や過疎化対策を推進している自治体で、YumeCoinのインセンティブの仕組みと連動することで、住民や患者さんたちの励みにもなると期待されています。
さらに、10月にはウェアラブル端末のFitbitとコラボレーションを行いました。エクササイズや睡眠データを記録するFitbitとYumeCoinを連携することで、健康促進や改善に向けた行動がインセンティブに繋がるため、個人の利用だけでなく従業員の健康を促す企業でも注目されています。
大武氏:
イノベーション推進部のミッションは、「全く新しい領域で全く新しいビジネスモデルを素早く作ること」です。しかし、社内のメンバーで議論していても、同じ企業文化をずっと共有しながら育ってきているため、なかなかブレイクスルーできずに悩んでいました。そこで、ゼロビルバンクさんに入ってきていただき、違う視点で議論いただくことが私たちにとってはとても良い刺激になっています。また、スタートアップ企業ならではのスピード感で、物事の進め方が飛躍的に早く効率的になったと実感しています。
大武氏:
前部署でも新規事業を担当しており、ブロックチェーンについて色々と検討やリサーチをしましたが、魅力的なアプローチやイメージが湧きませんでした。ブロックチェーンはフィンテックだけではない、別の領域でやってみた方が絶対に面白いと常々考えていました。イノベーション推進部の発足が決まったときに、誰かブロックチェーンに詳しい人がいないか探していたところ、当部の岩本が「ぴったりな人がいますよ」と堀口さんを紹介いただきました。最初にお会いしたときに、何をしたいのか、どういうことができるのかということをざっくばらんに話をして、夢を語り合いました。堀口さんとは初対面とは思えないくらいに波長が合い、まずは一緒にやってみようかという話になりました。
5月31日にイノベーションルーム「YumeST」のお披露目をすることが決まり、ブロックチェーン上で動かすインセンティブの仕組みを話し合いました。話題性もあるしイノベーションのベクトルとも合う。本番まで1ヶ月くらいしかない中で間に合うのかが課題でしたが、堀口さんの「やるしかないですね!」という一声で走り出しました。
岩本氏:
ゼロビルバンクさんは、いつも3ヶ月かかるようなことを2ヶ月で仕上げてしまいます。アイディアも滝の如く出てきますし、開発もスピーディー。意気投合してできているのがとても嬉しいですね。
大武氏:
これまではやりたいことが先にあり、その技術を持っているスタートアップ企業にアプローチすることがほとんどでしたが、ゼロビルバンクさんのようにスタートアップ企業の方からビジネス提案をいただくような共創型はあまりなかったため、とても新鮮に感じています。
福永氏:
開発面での苦労は特にありませんが、むしろゼロビルバンクさんに苦労をかけています。いつも無理難題をご相談していますが柔軟に対応いただいています。CTOの茂木さんは広く色々なことをご存知でかつ深く掘り下げられる方なので、議論がとにかく早いです。私たちのアイデアを素早く理解いただいてロジカルに整理してくださるので、とても頼りにしています。
大武氏:
一番良いのはスピード感です。ゼロビルバンクさんには、アイディアコストのところから一緒にやっていただいていますが、私たちのやりたいことを理解いただいているため手戻りがありません。最短でアプローチできるのが嬉しいです。また、堀口さんの人脈ネットワークも魅力的です。「この企業さんだったらきっとOKIと合うのでは」とご紹介いただいた会社は弊社としては魅力的な企業ばかりです。
岩本氏:
今までOKIがお付き合いをしてきたお客様や企業にはない、新しい分野・新しい考え方の企業ばかりですが、目指すところのゴールは同じ方向を向いているという点がとても新鮮です。
福永氏:
もう一点、ゼロビルバンクさんは、チームのバランスが良いですね。堀口さんの発想を茂木さんがロジカルに組み立てていき、安藤さんがビジネスモデルの戦略を考える。一緒に仕事をする上でも、それぞれの人と違うディスカッションができるのが素晴らしいです。やりやすいし面白いしワクワクするし、必ず新しい答えが出てきます。
大武氏:
最初の発表のときにベネフィット・ワン様と一緒にプレスリリースをさせていただき、記事を見たお客様からは「沖電気さんは何か新しいこと始めたの?」「どうしてゼロビルバンクさんと一緒にやっているの?」という声を多くいただきました。良い意味で外から注目が集まるきっかけを作っていただきました。
大武氏:
私たちのゴール設定は今年の4月にスタートしたときから変わっていません。この一年間で成果を出すことがKPIで、イノベーション活動の成果発表会を3月に予定しています。2019年の課題としては、イノベーション活動の真価が問われる年だと思っています。1年目の成果を実際に皆さんに広く使っていただけるようなものにしたいと考えています。
福永氏:
3月の成果発表会で“OKIはここを目指していたのか”と納得いただけるようにできたらなと思っています。そして、こういうことをやってみたかった、という企業が集まってきたら嬉しいです。
福永氏:
ブロックチェーンの特徴でもある「データが繋がっていく」という概念を大切にして、ゼロビルバンクさんが目指している企業間連携のモデルに私たちも期待しています。一つのシステムを誰かと一緒に作るという今までのやり方ではなく、さまざまな人とどんどん連携していくという大きな絵を描きやすい技術だと思います。
OKIはもともと通信系の会社で、「繋がる」ところを組み立てるのが非常に得意です。そこにブロックチェーンという「新しい技術」を使って、OKIならではの「新しい繋ぎ方」をしていくのがマッチしていて、うまく相乗効果が出せているのではないかと思います。お客様にとっても、OKIと一緒に繋いでいきましょう、ということであれば安心感があると思います。徐々にブロックチェーンに対する認識も変わってきてフィンテックだけではない活用方法もこれから注目されてくるのではないでしょうか。
大武氏:
OKI流のイノベーション活動の特徴として、「共創型イノベーション」に挑戦しています。まずは大企業同士の共創を核にして、周りをキーパートナーの方々で囲んでいただくチームを作りたいと思っています。そのキーパートナーの中心にゼロビルバンクさんがいてほしいなという気持ちがあります。新しい技術のブロックチェーンを事業モデルに組み込み、それをハブにして皆さんと繋がっていく、今の時代にマッチしたエコシステムを目指しています。ゼロビルバンクさんとは、ビジネスコーディネートから一緒に検討していきたいですし、よきチームメートであってほしいと思っています。
沖電気工業様の本社ショールームにて。左からイノベーション推進部の福永様、大武様、岩本様。
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